独り言

プログラミングの講師をしています。新人研修で扱う技術の解説と個人の技術メモ、技術書の紹介など

【情報処理】ハードウェアの基本

コンピュータ関係での仕事をするなら、ハードウェアについての最低限の知識は持っておいた方が良いでしょう。
ということでここではハードウェアの基本について解説します。

ハードウェアとは

そもそもハードウェアとは何でしょうか。
ハードウェアは、目に見えて手で触れることができる、形のあるものです。
例えば、スマートフォンやパソコン、マウス、キーボード、モニターなどなど。
他にもモニターとPCをつなぐケーブルや、LANケーブル、ルータースイッチングハブ
コンピュータに少しでも関係しているもので、物理的に目に見えるものはハードウェアと言います。

一方、ハードウェアの対比として存在する言葉がソフトウェア。
これは目に見えないデータ、プログラムのことを指します。
ゲームが好きな人はゲームに例えると分かりやすいでしょう。
ゲームをプレイするための機器、プレイステーションやSwitchなど、そういったものはハードウェアで、プレイするゲームはソフトウェアです。

一般にコンピュータとはハードウェア + ソフトウェアのことを指すと思ってよいでしょう。
文脈によってはハードウェアのことをコンピュータとして呼ぶこともあります。
いずれにせよ、コンピュータを使おうと思ったとき、必ず何かしらのハードウェアが必要になります。

五大装置とは

ハードウェアの種類は数え切れないほどありますが、コンピュータを動かすうえで最低限必要になる装置があります。
それが五大装置と呼ばれるものです。

五大装置とは

  • 入力装置
  • 出力装置
  • 記憶装置
  • 演算装置
  • 制御装置

の5つのことを指します。

ここで少し話をそらします。
コンピュータは元々何かをモデルにして作られたのですが、何をモデルにして作ったか分かるでしょうか。
答えは人間です。
コンピュータは人間をモデルにして作られた計算機です。

話を戻すと、五大装置のそれぞれの装置は、人間にも例えることができます。

入力装置は、外部からコンピュータに対して情報を与えるものを指します。
これを人間に例えると何になるでしょうか。
人間は、目で見て耳で聞いて、手で触ったりすることで外部から様々な情報を得ます。
視覚、聴覚、触覚など、いわゆる五感と呼ばれるものが人間にとっての入力装置になります。

出力装置は、コンピュータが外部に対して何かしらの出力をするための装置になります。
人間で言うと何にあたるでしょうか。
人間は人に何かを伝える時、声を出したり、体でジェスチャーをしたり、紙に書くなどして相手に伝えます。
なので、口や体、手などが出力装置にあたります。

記憶装置、演算装置、制御装置はイメージが人間に例えると何でしょうか。
答えは脳です。
人間は脳で何かを記憶しますし、体の制御などは全て脳が行います。
また、何かを考える処理(コンピュータでいうところの演算)をするのも脳です。

入力装置

ここからはそれぞれの装置について詳しく見ていきましょう。
入力装置は、前述したとおり、コンピュータに対して外部から情報を与えるものです。
具体的にどんなものを指すかというと、パソコンの場合だと、マウスやキーボード、トラックパッドやマイクなどです。
スマホの場合画面(タッチパネル)が入力装置にあたります。
他にも、センサーなども入力装置にあたります。
これも数え上げるときりがないでしょう。
気になる人は、他にどんな入力装置があるか、自分の身の回りで考えたり調べたりしてみてください。

出力装置

出力装置は、コンピュータが外部に情報を出力して、主に人間に対して何かを伝える役割を持つ装置です。
もっとも分かりやすいのは画面(モニター)でしょうか。
スピーカーも出力装置ですし、プリンター、プロジェクターなども出力装置になります。
スマホの場合は、バイブレーション機能やLEDのライト点滅なども出力装置です。
こちらも無数にあるため、気になる人は色々と調べてみてください。

記憶装置

記憶装置は、データを記憶しておくための装置です。
それだけ聞くとシンプルのように思いますが、実は色種類があって、分類はかなり複雑です。

記憶装置はまず、大きく補助記憶装置と一時記憶装置の2つに分類されます。

補助記憶装置

補助記憶装置とは、コンピュータの電源を消してもデータが消えることのない記憶装置です。
パソコンを使って仕事をしたりレポートを書いた経験のある人であれば、ExcelやWordなどを使って資料を作成した経験はあるでしょう。
これらの作成した資料が、コンピュータの電源を消したタイミングで消えてしまったら困りますよね。
Excelやword、あるいはテキストエディタなどで作成したような、消えてほしくないデータを保存する場所が補助記憶装置です。
具体的には、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートディスク)等があります。
これらは、ストレージやディスクなどとも呼ばれます。
通常パソコンの中にはHDDかSSDのいずれかが入っています。
何が違うかというと、ざっくりと言ってしまえば、データにアクセスする速度です。
HDDよりもSSDの方がデータへのアクセスが速いです。
HDDは、物理的に円盤のディスクが入っており、円盤を回転させながらデータにアクセスするため、低速です。
SSDフラッシュメモリとなっており、HDDよりも高速です。
しかし、その分値段がSSDの方が高額になります。
USBフラッシュメモリや、外付けハードディスク、CD-Rなどの媒体も補助記憶装置となります。

一時記憶装置

一時記憶装置は、その名の通り、一時的に記憶しておくための領域で、この記憶装置のデータはコンピュータの電源を消すと消えてしまいます。
一時記憶装置にはメインメモリなどがあります。
メインメモリは単にメモリと呼ばれることもあります。
メインメモリは、プログラムを実行する場合などに、そのプログラムを一時的に保存する場所として使用されます。
メインメモリは作業机に例えられる場合が多いです。
引き出しの中を補助記憶装置だとすると、机で何か作業をするときは、一度引き出しから取り出して机の上に出してあげる必要があります。
コンピュータも同じで、何かを実行するときには一度作業用の場所に作業用のデータを置いておく必要があり、それがメインメモリです。
また、メモリ上のデータは、補助記憶装置から取ってくるよりも高速にアクセスできるため、よくアクセスされるデータを保存しておく場所としても使用されます。

一時記憶装置は、後述するCPUの中にもあります。
これについてはCPUの説明の部分で解説します。

演算装置と制御装置

演算装置と制御装置はまとめて説明します。
なぜまとめて説明するかというと、この2つは五大装置としては分けられていますが、物理的には1つの装置として提供されています。
それは、CPU(Central Orocenssing Unit、中央処理装置)です。

演算装置

まずは演算装置から説明します。
演算というと、計算のイメージがあるかもしれません。
しかし、実際には数値の計算だけでなく、データの検索やデータの並び替え、日本語の変換など、コンピュータの中で行われるあらゆる処理は演算装置で処理します。
というのも、コンピュータは全て2進数(0と1の2パターン)の組み合わせの計算で動いています。
なので、人間にとっては検索や並び替え、変換といった処理も、コンピュータからみればただの数字の計算です。
つまりは、コンピュータ上の処理を行う装置が演算装置です。

制御装置

次に制御装置です。
制御装置は、名前の通りで、五大装置の中の制御装置以外(入力装置、出力装置、記憶装置、演算装置)を制御するためのものです。
制御装置がなければコンピュータは動きません。
それくらい大事なもので、これもCPUによって提供されています。

CPUは演算装置と制御装置を提供しますが、他にもレジスタキャッシュメモリといった一時記憶装置も含まれています。
とはいれ、レジスタは演算装置の一部とも言えるかもしれませんが。
コンピュータの中のプログラムを実行したりするのは、CPUの役割です。
そして、プログラムを実行するときには、しばしば変数といった一時的なデータの保存領域を使います。
この変数のデータを保持するためにレジスタキャッシュメモリといった一時記憶領域が使われます。
レジスタキャッシュメモリで何が異なるのかと言えば、アクセスの速度です。
レジスタは演算装置のすぐそばにあることから、非常に高速にアクセスできます。
しかし、容量はごくわずかで、限られた容量しかありません。
キャッシュメモリは、レジスタより低速になるものの、レジスタより多くの容量を格納できます。
一般にアクセス速度が速くなればなるほど、容量は低速になります。
また、アクセス速度が速いというはつもり、演算装置と距離が近いことを意味します。
記憶装置は、アクセス速度が速い順に
レジスタキャッシュメモリ>メインメモリ>補助記憶装置 となります。
キャッシュメモリは、その中でさらに1次キャッシュ、2次キャッシュ、3次キャッシュ、と分かれることもあります。
1次キャッシュから3次キャッシュになるにつれて、アクセスは低速になり、容量が大きくなります。

CPUのメーカー

CPUはコンピュータの中でも最も重要な部分とされていますが、どこのメーカーが作成しているかご存知でしょうか。
Intelという会社がほとんどのシェアを持っています。
また、AMDというメーカーもそれなりに有名。
海外ではAMDIntelを抜いてシェア1位になったという話もあるようです。

パソコンのスペック

パソコンを購入するなら、スペック(性能)の高いものが良いですね。
パソコンのスペックは何で決まるでしょうか。
基準は色々とあるかとは思いますが、一般には、CPUの性能とメモリの性能が重要です。
CPUは演算装置であり、コンピュータの処理を行うものでした。
CPUの性能はクロック数と呼ばれる、1秒間に何回演算の処理が実行できるかの数値によって決まります。
当然、1秒間に多くの処理を実行できる方が性能が高いわけです。
ということで、まずはCPUの処理速度が重要になります。

次に、メモリの容量も重要です。
メモリは作業机に例えられると話しました。
作業机の大きさが小さい場合、取り掛かる作業が変わるたびに引き出しからものを出し入れしなければいけません。
そうなると作業の効率も悪くなりますね。
これはコンピュータにおいても同じです。
メモリの容量が小さいと、パソコンの中で色々な作業を平行するとき(例えばExcelで資料を作りながら、ネットで動画を見ながら、プログラムを開発する、など)メモリとディスク(補助記憶装置)間でのデータのやり取りが増え、処理が遅くなります。
メモリの容量が大きいと、よくアクセスするデータを多く保存しておくことができるため、処理の待ち時間が減り、高速になります。

また、ストレージがHDDなのかSSDなのかによっても処理速度が変わってきます。
前述したように、HDDよりもSSDの方がデータへのアクセスが高速のため、SSDにした方が処理は高速になります。
PCを起動したときの立ち上がりのスピードなどは大きく変わってきます。
HDDとSSDには容量もありますが、これはデータをどれだけ保存できるかの容量のため、大きいに越したことはありませんが、速度という面ではあまり影響はありません。

その他のハードウェア

パソコンを分解して中身を除いてみると、五大装置意外にも色々な部品があることが確認できます。
ここではいくつか解説していきます。

マザーボード

五大装置はコンピュータの中でそれぞれ重要な装置ですが、バラバラに存在していては意味がありません。
コンピュータを動かすにあたっては、それぞれの装置を1つにまとめるものが必要です。
それぞれの装置をまとめる役割を持つものがマザーボードです。
画像を検索すればすぐに出てきますが、見た目は緑色の板です。
基盤などとも呼ばれます。

ファン・ヒートシンク

パソコンを分解してみると、ファンが付いていたりします。
CPUを外すには、CPUにくっついているファンを外す必要があったりします。
なぜCPUにファンがくっついているかというと、CPUは熱を持つため、冷やす必要があるからです。
CPUはコンピュータを構成する部品の中で最も重要であるにも関わらず、物理的には実はかなり小さいです。
しかし、その小さい中に回路が詰め込まれており、処理を行うときには電気信号のオンオフによって熱が発生します。
そういった熱を冷ます役割としてファンや、ヒートシンクと呼ばれる放熱のための部品が組み込まれています。

バス

マザーボード上ではそれぞれの装置でデータのやり取りが発生します。
そのデータのやり取りをする通り道のことをバスといい、伝送路などとも呼ばれます。

このほかにも、NIC(ネットワークインターフェースカード)や電源装置など、色々な部品があることが分かるかと思います。

パソコン分解したりパソコンを自作してみる

ハードウェア、特にパソコンのハードウェアについて詳しくなるには、分解してバラバラにしてみたり、パソコンを自作してみるのが良いでしょう。
壊れたPCであれば分解しても問題ないかと思いますが、壊れていないPCの場合、元に戻らなくなると色々とも面倒なので注意が必要です。
特に、メモリ、CPUといった部品は静電気やホコリに弱いため、素手で触れた時に壊れてしまう可能性もあります。

パソコンを自作するのはハードルが高いと感じるかもしれません。
実際、私も一から作成することはしたことがありません。
PCを作るには、マザーボードからメモリ、CPUなど、様々な部品が必要となりますが、 マザーボードによって、メモリやCPUで使用できるものが変わってきます。
そのため、パソコンを自作するには、事前に色々と調べる必要が出てきます。
その結果、ハードウェアの知識が多く身に付くかと思います。

まとめ

  • ハードウェアとは目に見えるもの
  • ハードウェアで重要なのは五大装置
  • 記憶装置は補助記憶装置と一時記憶装置に分かれる
  • 補助記憶装置はHDD, SSDなど
  • 一時記憶装置はメインメモリなど
  • 演算装置と制御装置はCPUによって提供される
  • CPUにはレジスタキャッシュメモリなども内臓されている
  • 五大装置はマザーボードによってまとめられている